うつ病治療の現状

最近読んだ東洋経済の特集に刺激を受けて、
うつ病治療の現状について書かれた本を読んでみました。


↑これが読んだ東洋経済。
 
 

↑NHKスペシャルで放送され、反響が大きく書籍化された内容です。
 
 
有名な話ですが、うつ病については客観的に判断する定量的な指標がありません。
基本は問診票で診察が行われており、大体5分以内で終わります。(診療点数上それが一番良いので)
 
一番メジャーな問診は、アメリカ精神医学会が定めたDSM-Ⅳのガイドラインです。
それだけ聞くという診察も多くあるようです。
 
 
この本の中で紹介されている事例はもちろん一部の医師でしかないと思いますが、
非常に手抜きな診察をする医師も多く、誤診や薬漬け、それが原因での事件・自殺なども多いようです。
非常に残念な状況だと思います。
 
 
私もうつ病・躁うつ病について色々勉強させていただく機会が多く、
最近ですと、理化学研究所の加藤先生にすすめていただき、
うつ病・認知症コンソーシアム
にも入らせていただきました。(と言っても、眺める位ですが。。)
意外にも、未だわからないことが多い疾患のためこうした活動も活発なようです。
 
 
このNHK取材班の本を読んで、より一層”うつ”に関しての医療技術の進歩が必要だと感じました。
具体的には、如何に定量的に”うつ”を判断するかにかかっているかと。
 
 
ここ10年で”うつ病じゃないか?”と受診する人の数は2倍に以上に増えています。
心療内科などのメンタルヘルス系クリニックの数も2倍以上に増えています。
しかし、10年少々前にSSRIが国内で出て以降画期的な新薬は出ていないですし、
診察方法についても変化をしていません。
それどころか、”患者が増えたから内科医が心療内科に切り替える”という非専門医が多く、
結果として”5分で問診票聞いておしまい。とりあえずお薬出します。”という状況になります。
(もちろん全員ではないです。あしからず。)
 
 
定量的に判断することが出来れば、たとえ5分であってもだいぶ診察のレベルは変わりますし、
少なくとも真逆の薬を出す(うつの人に躁鬱の薬を出す)という状況はなくなると思います。
 
 
うつ病の薬は、臨床試験を通過し”効果が認められた”薬ではありますが、
”どういうメカニズムでうつに効いているか”はわかっていない薬でもあります。
しかも副作用についても社会問題になっており、実際に学会でも注意を促しています。
そのような強い薬を5分の問診だけで出されてしまうことは非常にリスキーで、
自分や自分の家族がもしそうなったらどうしよう。。と結構怖くなってしまいます。
(うつ病は誰でもなり得るので、自分も0ではないと思っています。)
 
 
最近では、光トポグラフィーを用いた判断方法や、
遺伝子パターンで数値化する(広島大)という研究も出て来ています。
 
 
さらに、経頭蓋磁気刺激(TMS)という治療法も出て来ており、
批判を浴びがちな”薬漬け”ではない他の手段も模索されています。
 
 
まだまだ”うつ病”を取り巻く社会情勢やサービスについては色々思うところがありますが、
それは追々自分が結果を出してから発言することにします。
 
いずれにせよ、一番は”正確な診断”と、それを得るための”患者側の正確な知識”
だと考えているので、そこに対して自社として出来ることはやっていきたいと考えています。

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